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その先に待っていた、引き寄せてしまうもの

2016年07月30日

両親がいなくなり、
同時に娘が誕生するという奇跡。

前回の記事です。こちら

それまでのストーリー展開があまりに人間交差点過ぎて、
娘の存在の、その輝きがいかにまぶしかったことか。

親から子へ
子からそのまた子へ。

命のパスが引き継がれ、
新たな家族という形でスタートを切ろう、切るんだ、
自分なりの家族を創っていくんだと決意を新たにしていたとき、
両親の置き土産がぜんぜん終結を迎えていないことを知った。

田中家、僕の両親が連綿と受け継いできた血、
あるいは霊的なハタラキが清算されていなかったのだ。

伊緒里が産まれて二ヶ月くらいたったころ、
それは起こった。

ちょっと待て。

まずはこちらの言い分、経緯から話したほうがよさそうだ。

母親が逝って、寸前に父親と別れたものだから、
遺言に、父親が死んでもお墓に一緒に入れてくれるなとあった。

お墓はあった。
母親のお母さん、
つまり僕のおばあちゃんが用意していたものだ。

田中家に用意したものが、
こんな結末になるとは思いもよらなかったに違いない。
別れたから当然母親の墓となる。

それはそれで、この世を去る人の落ち着く先があるのは、
そのセティングをする僕らにとってありがたいことだった。

「近いうちに、お墓の場所を確認しに行きましょ」

二度、それを口にしたけれど、
ついに行かないままだった。

忙しかったし、
母親的には生きる希望のある間は近寄りたくなかったのかもしれない。
あらゆる手を尽くしてからは転移もあり、
病状が急速に進んで、お墓どころではなかった。
忘れてもいた。

49日も終わり、
さて、お墓のことを考えなきゃ、、、
となったとき、ふと思い出した。

お墓の場所、聞いてなかったぞ、、、

場所は分かる。
あそこの共同墓地だ。
しかし、その正確な位置が分からなかった。

母親の兄弟は知っていた。
ただ、聞けなかった。

遺言で家族葬にするとなって、
それを実行した僕に完全絶縁状態だった。
もう一人は生前、とっくに兄弟同士絶縁状態だった。

どうすればいいんだ?
迷宮入りだった。
それを迷宮にした僕がそれを引き寄せてしまったのかもしれない。
土下座してでも教えてくれと聞けばよかったのかもしれない。

僕の方でも意地があった。
大切な人の死を迎えて、その死に対して
なぜもっと大らかに対処してくれなかったのか、
そんな憤りも深く残っていた。

確かではないけれども手掛かりはあった。

もう一人の兄弟のお墓のすぐ近く、、、

これが唯一のカードだった。

共同墓地にいって、
お兄さんのお墓のあたりを探ると
その裏に一画さら地があった。

ここだろう。

管理人もいることだし聞いてみよう。

「母親からお墓の場所を聞いていなかったのですが、
ここでいいでしょうか?」

何気ない質問なはずだ。

しかし返ってきた答えは怒声の含まれていた、
突き放すようなものだった。

「よくあるんだよこういうの!こっちは知らない。
かってにやってくれ!」

え?
耳を疑った。

「何か、場所を示すような図はないのですか?」

「ないよ」

「じゃあ、あそこの裏のさら地ですがお墓を立てる段取りしていいですか」

「勝手にどうぞ」

取り付く島もない。

となれば、まあ、母親の言った唯一の薄い手がかりだけど、
おじさんのお墓の近くとなればここしかないから、決定してしまおう。

ここに大きなゆがみがあった。

なぜ管理人は教えてくれなかったのだろうか?
そして、後から分かったことだけど、
詳細な図があったのだ!

管理人の、その時の虫の居所が悪かったのか、
この物語を脚色するために選ばれた人だったのか、
何が何だかさっぱりわからないけれど、
この歪みがのちの事件に発展した。

それなりに思いの込めたお墓が出来上がり、
友人に紹介してもらったお坊さんに納骨していただいた。

納骨は、それまで自分の家にお骨がある状態だから、
僕も、母親も(きっと)お互い落ち着かなかったので、
大きな大きなひと段落だった。

喪主の大きな仕事の一つだ。

その後、父親が逝き、
伊緒里が産まれた。

そう、その二か月後、、、

忍野デッドの帰り道、なぜか兄貴から電話があった。

「お前、お墓間違えてるぞ!
大変なことになってるから先方に電話しろ」

青ざめた。
血の気が引き、ジワーッと濃厚な脂汗の染み出る音を聞いた。

人の土地に墓を建ててしまった!
なんてことを!

やばいことになってしまった、、、

謝るにしても、納得というか、
相手は気持ち悪くて仕方ないだろう。
自分が入るために買ったお墓。
そこに身も知らずの、誰かの骨が納められている、、、

家を引っ越す、みたいな軽い感じではない。

お経を読んで、
みんなで、ここに安らかに眠ってくださいと祈りを込めた場所。
その念が、土に、場に、空気に深くまとわりついている。

どう謝ればいいんだ。

すぐに電話して、
とにかく平謝りをして
翌日朝に会いに行く約束をした。

許してもらえるのだろうか、、、

高級な菓子折りを持っていき、
とにかく謝りに謝った。

「お坊さんにしっかり場を清めてもらいます」
これだけしかなかった。

「こまったわ、ホント、こまったわ」
今でも、あのおばあさんの困惑した顔を思い出す。
実際、相手もどうすればいいのか分からなかったのだと思う。
気持ち悪いけれど、どうにもならなかった。
精神的な損害を与えたと訴訟という手もあるのかもしれないけれど、
この事態に、あまりにもあり得ないケースに仰天しすぎて、
何も考えが及ばなかったのかもしれない。

それは僕も同じで、
即時移動すること、
場をしっかり清めて元通りにすることを
ひたすら約束するだけのものだった。

しぶしぶ受け入れてくれた。

その事態は母親の兄
(生前絶縁していた本家。僕にとってもう一人のおじさん)
にも知れていた。
むしろその兄が管理する側にいたのでカンカンに怒っていた。
なぜ、聞いてこないんだと。

母親の病気、死に一切かかわらないと聞いていたのに、
のこのこ聞きに行けるだけの心の余裕はなかった。

頭を下げ、本当のお墓の場所を聞いた。

いい加減なことを言った管理人は
勝手にしろなんて言ってないといい、
なにしろ、お墓の名簿、
それぞれの場が記された書類があるなんてすっとぼけてきて、
その管理人の手のひらを反す、まったく理不尽な言い訳にも、
他の管理人たちは変に村意識が強く、
常に近いところにいるという理由かどうかわからないけれど、
管理人の顔を立てた。

気を取られている場合でない。
すぐにお墓を移動し、お坊さんに場を清めてもらいさら地にし、
見た目では何事もなかったかのようにした。

お墓を間違えた場に建ててしまうという事態。

なぜ喪主が兄貴でなく僕だったのか。
なぜ前もってお墓の場を確認しなかったのか。
なぜ誰もお墓の場を聞ける人がいなかったのか。
なぜ管理人は図があるのにないといったのか。

もっと僕が大人になって、母親の兄弟に聞いていればよかったのか。
そもそも家族葬なんてしなければよかったのか。
お墓の場を他の管理人に聞けばよかったのか。

なぜだ?
なんで自分に降りかかってくるのか?

何か隠されたコード、暗号があるのか?
意味するところを読み解くのがいいのだろうか?

さまざまな思いが去来し、
巨大な、墓石のような重みを課せられた自分への問いが長く続いた。

父親、母親のそれぞれの家族の引き継がれた血。
あるいはそれぞれの霊的な作用、、、

ここではこれ以上深くは書かないけれど、
これらも複雑に絡み合って、この事態を引き起こした。

たくさんの要因が深く絡み合って合成されたリアリズム。

誰が、どうしたから悪い、ってのはない。
全ては僕が見て、僕が体験したこと(麻依子はきつかったに違いない)。
つまりは僕が引き寄せてしまうものなんだ。

引き寄せの法則、なんてものがあったけど、
引き寄せてしまう法則、がもっと深くにある。

その事態をどう受け止め、どう解釈していくか。
これが成長だし、センスになってくる。

しかし両親の死は一回だし、やり直しは効かないし、
ほんと出たとこ勝負で、地がむき出しになる。

精神的にはものすごくきつかったものの、
それを乗り越え心の成長が、余裕が生まれたと思う。
何事も、とくに混乱がある事態ではいかに心を平常に保つか、
怒りがいかに認識を間違えさせるかを知った。
全ては学びです。

前回の記事同様、
家族の重要さが身に染みる。

家族といかに深淵で上質な内的な旅をするか、
お互いが未熟で学びあっていることを共有できるか、
愉しめるか、、、
これらがキーになっていく。
まずは親がバカにならないとね。

伊緒里が産まれた夏。
暑い暑い夏だった。
お墓を移動するとき、
お坊さんと一緒にお経を唱和して、
心の中で「ホントに、ホントにうまく収まってください」
汗だくになりながら何度も唱えていた。

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